泣いてしまいそうな幸福を
おめでとう。優秀だ。さすがだね。
ほめられたことは何度かあるけれど。
「頑張ったな」
学校の成績でもなく、役に立てたわけでもなく、
なんの成果も出せていないのに、そんな言葉をかけられたことはなかった。
鼻の奥がツンとして。
ああ、僕はずっと、この言葉がほしかったんだ。
「今日」の為の勇気を
「ジュードはそれを望むのか?」
その問いかけが僕を奮い立たせた。
だって頷けない。
彼女の信念を僕が否定するなんて、それだけは絶対いやだ。
この期に及んでまだ君に背中を押してもらうなんて、本当に僕は弱い。
ありがとう、もう大丈夫。
例え二度と声を聞くことも姿を見ることもできなくなるのだとしても
同じ未来を信じて進んでいく、この気持ちさえあれば僕達は一緒にいるんだ。
この世界を彩る美しい色を
久しぶりにシャール邸に立ち寄ると、いきなり手を引かれて外に誘われた。
「ジュードに見せたいものがあるんです」
美しく整えられた庭園の一角に新しい花壇があった。
咲き誇るのは大輪のやわらかなピンク。
ここが彼女の家なのだと、見事な花と明るい笑顔が教えてくれた。
笑う意味も泣く意味も、
へらへらしてるとクラスメイトに言われた。
そんなつもりはなかったけど、じゃあ笑ったり泣いたりしたのはいつだっけ。
泥んこになった顔があまりに酷くて声を上げて笑った。
机に手を入れたらカブトムシだらけだったときは正直泣いた。
考えてみたら本気で笑ったのも泣いたのも、全部レイアのせいだった。
おやすみの「 」
リラックス効果があるハーブをブレンドした紅茶に、ハチミツをひと匙。
深夜にも関わらず丁寧に淹れられたハーブティーはとても美味しいけれど
申し訳なさが先に立つ。
けれどそんな想いはお見通しなのだろう。
「ジジイもひとりのティータイムは物足りないと思っていたところなのですよ」
おどけた声音がどんなハーブよりもあたたかく胸に広がった。
君がくれるもの5つ(お題配布元:潦)
上から
イル・ファン脱出時/アルヴィン、決戦前夜/ミラ、ED後/エリーゼ、本編前/レイア、本編4部/ローエン
ジュードの日祝い企画(10/9の夜発動)として
新月さん(Day dream)、夕月さん(LOBERIA)が同じお題でお祝いされています。
それぞれ別の角度からの作品となっておりますのでぜひご覧になってください!